当ページには広告リンクを掲載する場合があります。許認可、届出、手数料、補助金は地域・建物・営業形態・公募時期で異なります。最終判断は管轄の保健所、消防署、警察署、税務署などにご確認ください。
結論から言うと、最初に決めるのは店名や内装ではなく、「誰に、何を、いくらで提供するか」と資金の上限です。その後、物件契約の前に用途・設備・許認可を確認し、内装と並行してPOSレジ、決済、会計、採用を決めると手戻りを減らせます。
まず現在地を確認
- アイデア段階:コンセプト、商圏、客単価、月商目標を1枚にまとめる。
- 資金調達中:設備資金と運転資金を分け、創業計画書と見積書をそろえる。
- 物件検討中:契約前に保健所、消防署、建築士・内装業者へ図面を見せる。
- 内装工事中:申請、採用、仕入れ、POS・決済の手配を並行する。
- 開店直前:検査・届出の完了、レジ訓練、衛生管理記録、資金繰りを再点検する。
開業までの全体像:12か月前から開店後まで
| 時期の目安 | 主な作業 | この時期のゴール |
|---|---|---|
| 12〜9か月前 | 経験の棚卸し、コンセプト、メニュー試作、商圏・競合調査 | 客層、利用シーン、客単価、席数を言葉と数字にする |
| 9〜6か月前 | 事業計画、資金計画、創業融資の相談、物件候補の比較 | 借入後も返済できる月次収支と総予算を固める |
| 6〜4か月前 | 物件の設備・用途調査、行政への事前相談、資金調達、賃貸条件の交渉 | 許可の可否と追加工事費を確認してから契約する |
| 4〜2か月前 | 内装・厨房設計、食品衛生責任者の確保、消防協議、仕入先・保険の選定 | 図面と見積もりを確定し、申請と工事の工程を合わせる |
| 2か月〜2週間前 | 営業許可申請、必要な消防・警察届出、採用・研修、POS・決済・会計の設定 | 検査日、納品日、研修日をオープン日から逆算する |
| 開店直前〜後 | 施設検査、プレオープン、衛生・売上・現金の日次管理 | 売上だけでなく、原価、人件費、現預金残高を週次で見直す |
物件の状態、融資審査、内装工事、行政の検査予約によって必要期間は変わります。この時系列は固定期限ではなく、遅延しやすい作業を早めに始めるための目安です。
1. コンセプトと事業計画を数字にする
コンセプトは「おしゃれなカフェ」のようなイメージだけでは、事業計画になりません。
「誰が、どんな時に来店し、何を注文し、いくら支払うか」まで具体化します。
最初に決める6つの数字
- 主力商品の価格:初来店のきっかけとなる商品と、粗利を作る商品を分けます。
- 目標客単価:主力商品だけでなく、ドリンク・サイドメニュー・追加注文を含む平均額で考えます。
- 席数:広さから限界まで詰めず、厨房・配膳・会計・避難の導線を引いた実運用の席数にします。
- 席稼働率:全席が常に埋まる想定は避け、曜日・時間帯ごとに現実的な稼働率を置きます。
- 回転数:営業時間を滞在時間で単純に割らず、来店が少ない時間も含めて考えます。
- 営業日数・時間:売上だけでなく、仕込み、閉店作業、休日、店主の労働時間まで含めます。
主力商品は「売りたい商品」ではなく「事業を支える商品」
主力商品は、注文数が多いだけでなく、客が店を選ぶ理由になり、一定の粗利が残り、忙しい時間でも安定して提供できる商品です。
売価と食材原価だけで判断せず、仕込み時間、調理時間、廃棄率、保存スペース、特定の調理人に依存しないかも確認します。
客単価は「メニューの平均価格」ではない
客単価は、実際の注文組み合わせで計算します。ランチとディナー、平日と休日で単価が異なるなら、別々に計算してください。
客単価の計算例
ランチ客60人のうち40人が1,000円の主力商品、20人が1,300円のセットを注文する想定とします。
(1,000円 × 40人+1,300円 × 20人)÷ 60人=客単価1,100円
ここにドリンクの注文率や値引きを反映し、より現実的な数字にします。
席数・回転数・稼働率から1日の客数を作る
席数に回転数を掛けるだけでは、全席が毎回埋まる過大な計画になりがちです。稼働率を加え、時間帯ごとに積み上げます。
20席の小規模店の計算例
20席 × 2.5回転 × 稼働率70%=1日35人
客単価1,100円、月26日営業なら、理論上の月商は次のとおりです。
1,100円 × 35人 × 26日=月商1,001,000円
この金額を黒字化に必要な売上と比べ、席数・単価・回転数の前提が現実的かを見直します。
営業時間は「長いほど売上が増える」とは限らない
来店が少ない時間を延長すると、売上より人件費・光熱費・廃棄が増えることがあります。
時間帯ごとに「売上ー食材原価ー追加人件費ー追加光熱費」を試算し、開ける価値があるかを判断します。営業前後の仕込み・清掃・レジ締めも労働時間に含めてください。
売上計画は3パターン作る
標準ケースだけでなく、客数が計画の80%の慎重ケースと、60%の悲観ケースも作ります。
慎重ケースでも現預金が底をつかず、借入返済と生活費を支払えるかが、開業前に見るべき重要な数字です。
日本政策金融公庫の「創業の手引+(飲食版)」にも、創業計画の作成と準備の確認項目がまとめられています。融資を使わない場合でも、計画書は開業後の実績と比較する基準になります。
2.開業費用と運転資金を分けて積み上げる
飲食店の開業費用は、店舗の広さ、立地、居抜き・スケルトン、厨房設備、工事範囲で大きく変わります。一律の「平均額」を予算にするのではなく、次の項目を分けて見積もります。
- 物件取得:保証金・敷金、礼金、仲介手数料、造作譲渡料
- 設計・工事:内装、給排水、電気、ガス、空調、換気、消防設備、看板
- 設備・備品:厨房機器、食器、家具、POS、決済端末、通信工事
- 開業前費用:許認可手数料、保険、採用、研修、販促、初回仕入れ
- 運転資金:売上が計画未達でも家賃・人件費・仕入れ・返済を支払う現預金
運転資金は「初期費用の余り」ではありません。オープン後の赤字期間を想定し、月ごとの現金収支表を作りましょう。税込・税抜の混在、見積もり漏れ、予備費の不足にも注意が必要です。
3.資金調達は自己資金・融資・補助金を混同しない
| 方法 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自己資金 | 返済不要で、資金使途の制約が少ない | 生活費まで投入せず、個人の生活防衛資金も分ける |
| 創業融資 | 設備資金・運転資金に利用できる制度がある | 審査があり、返済が必要。融資実行前の契約・支払いは要調整 |
| 補助金・助成金 | 対象経費の一部が交付される可能性がある | 常時募集ではない。審査・要件・実績報告があり、原則後払いの制度も多い |
2026年8月確認時点で、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新たに事業を始める人または事業開始後おおむね7年以内の人を対象とし、設備資金と運転資金を使途としています。利率や審査結果は申込者ごとに異なるため、物件契約の前に支店や創業支援窓口へ相談するのが安全です。
4.物件契約前に「許可が取れるか」を確認する
良い立地でも、給排水、排気ダクト、電気・ガス容量、グリストラップ、消防設備、用途、管理規約の条件を満たせなければ営業できません。居抜き物件でも、前店舗の許可や設備がそのまま使えるとは限りません。
- 賃貸借契約で希望業態、営業時間、看板、テラス、排気工事が認められるか
- 手洗い・シンク・給湯・冷蔵設備などが管轄保健所の施設基準を満たせるか
- コンロ、フライヤー、オーブンなどの火気設備と換気・排煙・消火設備が適合するか
- 追加工事の費用負担と、退去時の原状回復範囲が明記されているか
5.飲食店開業で基本となる資格・許可・届出
必要な手続きは、提供物、営業時間、建物、収容人員、従業員の有無で変わります。次の表で対象になりそうな項目を拾い、各記事で「誰が・いつまでに・どこへ」を確認してください。
| 手続き | 主な対象 | 確認先 |
|---|---|---|
| 飲食店営業許可 | 設備を設けて食品を調理し、客に飲食させる営業 | 管轄保健所 |
| 食品衛生責任者 | 原則として許可・届出対象の食品営業施設ごと | 管轄保健所・自治体が認める講習実施機関 |
| 消防署への届出 | 店舗の使用開始、内装工事、火気設備など。条例と建物で異なる | 管轄消防署 |
| 防火管理者の選任 | 飲食店など特定用途を含み、建物全体の収容人員が30人以上となる場合など | 管轄消防署 |
| 深夜酒類提供飲食店営業開始届 | 原則として深夜0時以降に酒類を主として提供する店舗。立地・業態の条件あり | 管轄警察署 |
| 製造業の追加許可 | 菓子、そうざいなどを卸売・通販用に製造する場合など | 管轄保健所 |
| 税務・社会保険・労働保険の届出 | 個人開業、法人設立、給与支払い、従業員の採用 | 税務署・年金事務所・労基署・ハローワーク |
食品営業者は、原則としてHACCPに沿った衛生管理に取り組み、衛生管理計画の作成、実施状況の記録・保存、見直しを行います。厚生労働省は小規模な一般飲食店向け手引書を公開しています。
6.内装工事と申請は同じ図面で管理する
保健所、消防署、警察署へ提出する図面と実際の工事内容がずれると、修正や再検査の原因になります。寸法入り平面図、設備表、仕上表を最新版に統一し、変更時は行政窓口と設計・施工業者の両方に共有します。施設検査は省略できないため、オープン前日に合格する日程は避け、手直し日を確保しましょう。
7.POS・キャッシュレス決済・会計は一緒に設計する
レジだけを先に契約すると、決済端末と連携できず二重入力になったり、会計ソフトに売上データを手入力したりすることがあります。内装設計の段階で、注文方法、会計位置、ハンディ台数、キッチンプリンター、電源、通信、決済ブランド、売上データ連携をまとめて比較します。
8.開店後は「売上」より先に現金残高を見る
開業直後は仕入れや人件費の支払いが先行し、キャッシュレス売上の入金は後になります。日次で売上、現金実査、客数、客単価、廃棄を記録し、週次で原価率、人件費、向こう3か月の現預金残高を見直します。衛生管理の記録と、許可証・食品衛生責任者の掲示もオペレーションに組み込みます。
公式情報・確認日
以下は2026年8月12日に確認した一次情報です。手数料、申請期限、様式、融資条件、公募状況は変更されるため、申請直前に再確認してください。
テーマ別の詳細ガイド
- 飲食店開業チェックリスト|12か月前から開店後まで
- 飲食店向けキャッシュレス決済比較|手数料・入金・POS連携で選ぶ
- 小規模飲食店向けPOSレジ比較|注文方式・総額で選ぶ
- 飲食店向け予約システム比較|台帳・顧客管理・無断キャンセル対策
- 飲食店向け求人サイト比較|掲載課金・応募課金・採用課金の選び方
- 飲食店の店舗保険・火災保険の選び方|補償の空白を防ぐ
- 飲食店向け法人カード・法人口座の比較|会計連携と資金繰り
- 飲食店の開業費用はいくら?規模別内訳と運転資金
- 飲食店の資金調達|自己資金・融資・補助金の違い
- 飲食店の物件契約前チェックリスト|設備・用途・原状回復
- カフェ開業チェックリストと費用|小規模店の準備
- 居酒屋開業で必要な許可と設備|深夜営業・消防も確認
- 【10坪以下・1人営業】POSとキャッシュレス決済の最小構成
- テイクアウト併設店に必要な許可と注文システム
- 深夜営業店のPOS・勤怠・届出|0時をまたぐ運用
- 複数店舗向けPOS・会計・勤怠の連携|本部管理の設計
次にやること
- 今の段階を「計画・資金・物件・工事・開店直前」のどこかに置く
- 出店予定地の保健所と消防署の連絡先を控える
- 上の手続き表から自店に必要な詳細記事を読む
- 注文・会計・売上集計の流れを書き、POS・決済・会計を比較する