当ページには広告リンクを掲載する場合があります。許認可や届出の条件は自治体・営業形態によって異なるため、最終判断は必ず管轄の保健所・行政窓口に確認してください。
物件を契約してから「保健所の基準を満たしていなかった」と気づくと、内装のやり直しで開業が1〜2か月遅れることもあります。飲食店営業許可は、物件契約前・内装設計前の事前相談が成否を分けます。とはいえ制度や基準は自治体ごとに細かい違いがあるので、「これで合っているのかな」と不安になったら、遠慮せず保健所に電話や窓口で聞いてしまうのが結局いちばんの近道です。
飲食店営業許可とは
食品を調理し、設備を設けて客に飲食させる営業を行うために必要な、保健所(都道府県知事等)からの許可です。根拠は食品衛生法第55条で、無許可営業は2年以下の懲役または200万円以下の罰金の対象になります。2021年6月の法改正で、以前あった「喫茶店営業許可」は廃止され、酒類を出す・出さないに関わらず飲食店はすべて「飲食店営業」1種類に統一されました。
この改正では、許可が必要な業種が32業種に整理されたほか、食中毒リスクの低い業種向けに新たな「営業届出制度」が創設され、すべての事業者にHACCP(衛生管理計画に沿った管理)が義務化されるなど、制度全体が大きく変わっています。飲食と並行して製造・販売も考えている場合は、厚生労働省の「営業許可業種の解説」に目を通しておくと安心です。
開業までの流れ
- コンセプト・立地・資金計画を固める: 業態や資金計画を整理しておくと、保健所への相談内容がぶれません。
- 物件選定・賃貸借契約前の事前相談: 手書きの平面図でよいので、管轄保健所へ持参して施設基準に合いそうか確認します。
- 食品衛生責任者の資格取得: 講習1日、またはeラーニングで取得します。
- 内装工事: 施設基準に沿ってシンクや手洗い設備を設置します。設計段階でもう一度保健所に図面を見てもらうと安心です。
- 必要書類の準備・営業許可申請: 施設完成予定日の10〜14日前を目安に、窓口持参・郵送・オンラインのいずれかで申請します。
- 施設検査: 保健所の食品衛生監視員による立入検査を受けます。営業者本人の立ち会いが基本です。
- 営業許可証の交付: 検査合格後、数日〜1週間程度で交付されます。
検査で不適合箇所を指摘されると、改善・修繕のうえ再検査となり、その分オープンが延びてしまいます。特に水栓の構造は見落としが多いポイントなので、内装業者への発注前に保健所へ図面を見てもらうことを強くおすすめします。
申請時に必要な書類
自治体によって様式や運用は異なりますが、一般的に次のような書類の準備が必要です。
| 書類 | 内容・ポイント |
|---|---|
| 営業許可申請書 | 保健所窓口または自治体サイトで入手。営業所名・所在地・業種・営業者情報などを記入します。 |
| 施設の構造・設備を示す図面 | 厨房と客席の配置、シンク・手洗い場・トイレ・冷蔵庫などの位置と寸法を正確に記入した平面図です。 |
| 食品衛生責任者の資格を証明する書類 | 講習修了証、食品衛生責任者手帳の写し、または栄養士・調理師免許など資格証明書の写しを用意します。 |
| 水質検査成績書 | 水道水・専用水道・簡易専用水道以外の水を使用する場合のみ必要です。 |
| 登記事項証明書 | 法人の場合に必要になることがあります。法人番号を記載すれば省略できる自治体もあります。 |
| 許可申請手数料 | 現金・キャッシュレス決済など、自治体により納付方法が異なります。 |
法人の場合は代表者印や商業登記簿の情報、個人事業の場合は本人確認書類の提示を求められることもあります。書類の様式や必要部数は保健所ごとに違うため、事前相談の際に「このリストで足りているか」を必ず確認しましょう。
保健所がチェックする主な施設基準
- シンク(洗浄槽): 2槽以上、1槽あたり内径で幅45cm×奥行36cm×深さ18cm以上が目安です。自動洗浄設備がある場合は1槽で認められる自治体もあります。
- 手洗い設備: 厨房とトイレの両方に設置します。レバー式・自動センサー式・足踏み式など、手指の再汚染を防ぐ構造が基本です。石けん・消毒液・ペーパータオルを設置できるスペースも必要です。
- 給湯設備: 洗浄・消毒用のお湯が出ることが求められます。60℃前後を求める自治体もあります。
- 区画: 厨房と客席を扉や隔壁で明確に区切ります。調理従事者以外が容易に立ち入れない構造であることも求められます。
- 床・内壁・天井: 清掃しやすく、耐水性のある材質で、水はけの良い勾配があることが望まれます。
- 冷蔵・冷凍設備: 庫内温度が一目で確認できる位置に温度計を設置し、定期的な記録・管理を行います。
- 食器棚: 虫やほこりを防ぐため、扉付きが基本です。
基準の細部は自治体によって異なるため、必ず出店予定地の保健所に事前確認してください。
費用・期間・有効期限の目安
- 申請手数料: 1.6万〜2万円程度
- 検査から許可証交付まで: 1〜2週間程度
- 有効期限: 5〜8年。満了の1か月前を目安に更新手続きが必要です
更新時も食品衛生責任者の資格を確認されるため、実務講習を受けそびれていないか合わせてチェックしておくと安心です。
許可取得後にやっておくこと
- 掲示義務: 食品衛生責任者の氏名を店舗内の見やすい場所に掲示します。営業許可証と一緒に、店舗入口付近や店内の目立つ場所に掲示するのが一般的です。
- 衛生管理計画の運用: HACCPに沿った衛生管理計画を作成し、全従業員に周知したうえで、日々の温度管理記録・清掃記録などを継続的に残します。
- 変更があったときの届出: 申請書に記載した事項や営業設備に変更が生じたときは、変更のあった日から10日以内に届出が必要です。
- 廃業・移転・承継の届出: 廃業、移転、営業者変更などの場合は、その日から10日以内に届出が必要です。
オンラインでも申請できます
令和3年6月から、厚生労働省が整備した「食品衛生申請等システム」で営業許可の申請・営業届出・変更届・廃業届などをオンラインで行えるようになりました。窓口に出向かなくても、パソコンやスマートフォンから手続きできます。利用にはGビズIDまたはシステム専用のアカウントが必要です。
ただし、オンライン申請をしても施設検査自体は省略されません。内容や必要書類に不安がある場合は、事前に管轄保健所へ電話で確認してから進めると二度手間になりません。
あわせて確認したい関連許認可
飲食店営業許可は「入口」に過ぎず、業態や店舗規模によっては次のような手続きもセットで必要になります。開業準備の早い段階で、自分の店に何が必要かをリストアップしておきましょう。
- 食品衛生責任者: 飲食店営業許可の取得には必須です。まだ資格がなければ講習の予約を最優先で進めましょう。
- 防火管理者・消防署への各種届出: 建物全体の収容人数が30人以上になる場合や、内装工事・火気設備の設置を伴う場合に必要です。
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届/風営法関連の許可: 深夜0時以降も酒類提供を続ける、接待を行うなど営業スタイル次第で必要です。
- 菓子製造業・そうざい製造業など追加許可: 店内調理・イートインの範囲を超えて、卸売や通販で商品を販売する場合に必要です。
- 屋外看板・道路使用・テラス席の確認: 看板の設置場所やテラス営業を計画している場合に確認が必要です。
- 法人設立、税務署・労基署・年金事務所・ハローワークへの届出: 法人化する場合や従業員を雇用する場合に必要です。
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まずは「保健所への事前相談」を、物件探しと同じタイミングで動かすことが、開業スケジュールを守る一番の近道です。分からないことは一人で抱え込まず、遠慮なく保健所の窓口に相談してみてください。