当ページには広告リンクを含む場合があります。料金・契約・制度は、本文に示した適用条件と出典を確認してください。

飲食店の電気・ガスは「セット割」や「初期費用0円」といった打ち出しだけで切り替えを決めず、まず契約者・設備条件を確認し、新規開業は機器構成から見積もりを取り、営業中の店は12か月分の請求データを基に総額で比較するのが安全です。切り替えで必ず安くなるとは限らず、解約費や契約期間の条件を見落とすと総額が増えることもあります。
開業前に確認する4つの前提
内装工事が始まる前に、次の4点を貸主・施工会社・電力・ガス会社の間で確認します。契約容量の変更だけでは、建物側の配線やガス配管の不足は解消されません。
- 契約者は誰か:自店が電力会社・ガス会社と直接契約するのか、ビル全体でまとめて請求される一括受電・一括供給の物件かを貸主に確認します。一括供給の物件は、入居者が自由に電力・ガス会社を選べないことがあります。
- 機器の仕様:冷蔵庫、食洗機、エアコン、IHなどの電圧・消費電力・台数と、ガス機器が対応するガス種(都市ガス/LPガス)を一覧化します。
- 設備の余力:分電盤、電源回路、ガス配管、排気設備が計画する機器構成に対応するか、施工会社に確認します。
- 使用開始日:内装工事中の通電、厨房機器の試運転、開店日の3つを分け、申込・立ち会い・工事の予定を別々に確保します。
通信設備の電源計画も同じタイミングで詰めておくと手戻りが減ります。固定電話やビジネスフォンの回線引き込みは固定電話・ビジネスフォンの導入ガイド、店内Wi-Fiのアクセスポイント電源は飲食店のWi-Fi比較も合わせて確認してください。
電気の契約を比較するときの項目
複数社から見積もりを取る際は、単価だけでなく下表の項目をそろえて比較します。
| 項目 | 見積もりで聞くこと | 飲食店での注意点 |
|---|---|---|
| 契約種別・容量 | 電灯・動力の別、低圧・高圧、契約容量と算定方法 | 照明と大型厨房機器で契約区分が分かれる場合がある |
| 基本料金 | 休業月の請求、容量変更時の料金 | 使用量が少ない月でも固定費が発生し得る |
| 使用量に応じた料金 | 段階制・時間帯別の単価、調整項目 | ランチ中心と深夜営業で有利な条件が異なる |
| 変動・追加費用 | 燃料費調整、市場連動の有無、再エネ賦課金等の扱い | 単価表だけでは請求総額を比較できない |
| 契約・解約条件 | 契約期間、自動更新、違約金、移転・閉店時の扱い | 短期間での撤退・移転も含めて総額を見る |
市場価格に連動するプランを検討する場合は、どの指標に連動し、料金上限があるかを契約書で確認します。値上がりを吸収できる運転資金があるかも判断材料です。
都市ガスとLPガスを混同しない
都市ガスは導管、LPガスはボンベ等で供給される別の仕組みです。使用する機器の対応ガス種は必ず確認し、料金が安いという理由だけで厨房機器をそのまま別のガス種につないではいけません。
- 都市ガス:出店住所で契約できる小売事業者、業務用プラン、基本料と従量単価、保安・緊急連絡先を確認します。
- LPガス:供給会社を自店で選べるかを貸主に確認し、機器・配管の所有者、撤去費、設備費、解約精算を見積書で確認します。
- 一括供給の建物:契約変更の権限や計量方法は貸主・管理会社への確認が先です。店舗単独で切り替えられるとは限りません。
既存店は12か月の使用量データで見積もりを揃える
- 電気・ガスそれぞれの請求書を12か月分集め、使用量、契約容量、支払総額を整理する。
- 臨時休業、猛暑、機器入れ替えなど通常営業と違う月に印を付ける。
- 候補会社へ同じ使用量・期間の見積もりを依頼する。
- 初年度特典を含む総額と、特典終了後の総額を分けて確認する。
- 旧契約の解約費、新契約の初期費用を含めて差額を比較する。
新規開業で実績データがない場合は、営業時間・営業日・機器構成を伝えて試算を依頼し、使用量が想定より増えた場合の試算もあわせて聞いておきます。
切り替えの手順とスケジュール管理
資源エネルギー庁の案内によると、電力会社の切り替えは、切り替え先への申し込み後に契約開始日が決まり、標準的な期間はスマートメーターへの交換工事が必要な場合はおよそ2週間程度、不要な場合はおよそ4日程度とされています。現在契約している電力会社への解約手続きは、消費者の同意があれば切り替え先の電力会社が代行できる場合もありますが、移転・廃業・容量変更を伴う場合は個別に扱いを確認してください。
- 供給地点特定番号(検針票に記載)、契約名義、使用場所、請求情報を準備する。
- 切り替え日と工事・立ち会いの要否を確認する。
- 旧契約を先に解約して供給が途切れないよう、手続きの順番を確認する。
- スマートメーターへの交換は原則費用がかからないとされていますが、交換に伴う工事が必要な場合は費用がかかることがあるため見積もりで確認します。
- 最初の請求書で契約容量・単価・追加費用を見積もりと照合する。
切り替え・契約変更の計算例
以下は説明用の仮定であり、特定の料金プランの価格や節約を保証するものではありません。税込で計算しています。
現行契約の年間合計(基本料×12か月+使用量に応じた料金)を仮に84万円(税込)、同じ使用量で試算した新契約の年間合計を78万円(税込)とします。新契約への切り替えに伴い、旧契約の解約事務費として基本料1か月相当の7,000円がかかると仮定すると、初年度の実質差額は次の式になります。
初年度の差額=(84万円−78万円)−切り替えに伴う費用7,000円=5万3,000円
この計算には、分電盤の増設やガス配管の改修など設備側の工事費は含めていません。容量変更や機器の電圧対応に追加工事が必要な場合は、その費用を別途見積もりに加えて比較してください。また、契約変更だけでなく空調設定や冷蔵庫の清掃、機器の同時稼働の見直しも並行できますが、食品の保存温度や換気、安全性を犠牲にした節電は避けてください。
よくある判断ミスとチェックリスト
- セット契約なら必ず得だと思い込む
- セット割より単独契約の総額が安い場合もあります。両方の年間試算と解約条件をそろえて比較してください。
- 「初期費用0円」だけで決める
- 月額、従量単価、調整費、契約期間、設備費の精算まで確認します。開業資金は初期費用と運転資金に分けて準備しましょう。
- 居抜きの前契約をそのまま引き継げると思い込む
- 契約名義や設備の所有者、貸主の条件によります。前店舗の請求額を自店の料金保証として使わず、営業スタイルと機器構成に合う条件で申し込みます。
セキュリティカメラや券売機など電源を使う機器を増やす予定がある店舗は、防犯カメラの比較・選び方も合わせて確認し、電源回路の余力を含めて検討してください。
出典・確認日
2026年10月14日時点で、資源エネルギー庁および電力・ガス取引監視等委員会の公開情報を確認しています。個別の料金プラン・特典内容・契約条件は提供会社ごとに異なり、変更される可能性があるため、契約前に各社の最新の公式案内・見積書で確認してください。