執筆・編集:開業の献立編集部 公開日: 最終更新: 編集・広告ポリシー

当ページには広告リンクを含む場合があります。料金・契約・制度は、本文に示した適用条件と出典を確認してください。

飲食店の事業計画書の書き方|売上・原価・人件費の計算例に関する準備のイメージ

飲食店の事業計画書は、文章をきれいに埋めるより、客数・単価・原価・家賃・借入返済の前提がつながっていることが重要です。融資に通る表現を探すのではなく、売上が想定より少なくても営業を続けられるか、設備見積もりと資金の使い道を説明できるかを確かめます。日本政策金融公庫の公式様式を使い、根拠資料を一つずつそろえましょう。

計画書に書く内容と、裏づけ資料を分ける

日本政策金融公庫の創業計画の案内では、創業計画書の様式や書き方に関する情報が提供されています。動機、経歴、取扱商品・サービス、取引先、必要資金と調達、事業の見通しなどを、一つの筋道にして説明します。様式の欄だけで足りなければ、メニュー、立地、図面、設備見積、売上根拠を補足資料へまとめます。

例えば「地域密着のカフェ」と書くだけでは、誰がどの時間帯に何を買うかが見えません。「近隣の就業者が平日昼に使う」「休日は親子で軽食を取る」など、客層・利用場面・商品を分け、その仮説を現地調査と価格帯で裏付けます。経歴も勤務年数だけでなく、調理、仕入、シフト、売上管理で何を担当していたかを、今回の営業へどう生かすかまで説明しましょう。

売上は、席数だけでなく時間帯別の客数から積み上げる

店内売上は「客数×客単価」が基本です。客数は「席数×回転数」でも考えられますが、満席が続く前提を根拠なく置かないでください。平日昼、平日夜、休日などを分け、営業時間、席の構成、滞在時間、厨房の能力、競合の混雑から考えます。商圏分析と現地観察を、回転数の根拠に結びつけます。

説明用に、20席、昼の回転1.2回、客単価1,200円、月26日営業なら、昼売上は20×1.2×1,200×26=748,800円です。夜は別に、客数18人、単価3,000円、月24日なら1,296,000円で、合計2,044,800円になります。金額はすべて税込の受取額として置いた仮定で、相場や達成見込みではありません。昼26日・夜24日の差も、定休日や営業形態と整合させてください。

原価・人件費・固定費を、営業の計画と一致させる

売上の何割という原価率だけでなく、主力商品のレシピと仕入単価から原価を確認します。飲料と料理、店内と持ち帰りで、原価率や手数料が違うなら売上を分けます。人件費は人数と時給・勤務時間、店主が実際に働ける時間から組み立て、満席でも一人で全作業をこなせる、といった矛盾をなくします。

家賃、共益費、通信、システム、保険、リース、消耗品、広告、清掃、保守も漏らさず計上します。借入元金は費用ではなく返済の資金流出、設備代は購入時の現金支出と減価償却が別です。個人事業主の生活費引出しと、法人の役員給与も同じ扱いではありません。税務上の損益と資金繰りを分け、必要に応じ税理士へ確認してください。

開業資金は設備と運転資金に分け、見積書をそろえる

区分主な内容根拠の資料
物件保証金、礼金、仲介、前家賃、造作代募集条件、契約案、造作譲渡の内訳
設備内装、厨房、排気、電気、ガス、家具、POS工事区分・数量をそろえた見積書
開店準備許可、講習、販促、採用、研修、初回仕入申請案内、発注予定、採用計画
運転資金売上入金までの仕入・給与・家賃等日付別の入出金表と月次計画

設備の支払時期も重要です。着工金、中間金、完了金があるなら、融資の実行予定日より前に現金が必要な場合があります。見積もりの税込・税抜、対象外工事、設計・搬入・撤去・保守、支払条件を確認し、開業費用と運転資金の見積もりへ反映します。補助金は採択も入金時期も確定前提にせず、立替資金を別に確認してください。

売上が20%下振れしたとき、資金が何か月もつかを見る

仮に月の売上入金200万円、売上に連動する支出70万円、固定的な支出110万円、借入元金返済15万円なら、単純な現金の差引きは5万円です。この例は全額が当月に入出金される仮定で、税金・設備更新等は含みません。

売上入金が20%減って160万円、変動支出も35%の56万円に減ると仮定すると、160−56−110−15=マイナス21万円です。手元資金126万円なら単純計算で6か月分ですが、実際には初期支払い、納税、修理、決済入金のずれで変わります。売上が減っても仕込み量や人員をすぐ減らせない場合は、変動支出まで同率で下がる仮定を見直してください。

このように、通常、売上減、開店延期の3つを作り、最も残高が低い月を確認します。損益分岐点の計算と、返済・生活費まで含む資金の余裕は別の表で見ます。資金が足りなければ、必要な売上を都合よく引き上げるより、物件・工事範囲・採用時期・開業規模を再検討します。

融資相談には、数字と説明が同じ資料を持っていく

創業計画書、経歴、物件資料、設備見積、メニュー・価格、自己資金を説明できる資料、借入状況、許認可の進捗などを、窓口の必要資料一覧と照合します。自己資金の額や売上実績を良く見せるための虚偽や、一時的な借入を貯蓄と見せる説明はしないでください。未確定の見積や契約は未確定と表示します。

個別の融資条件や審査は、事業者と申込時点の制度によります。決まった自己資金比率や書式を満たせば必ず借りられるわけではありません。資金調達の手続きと比較で申込窓口と条件を確認し、物件契約・工事・融資実行の順序に無理がないか相談しましょう。

開業後は予実差を見て、計画を更新する

計画書は提出して終わりではありません。毎月、客数、客単価、時間帯別売上、原価、人件費、現金残高を計画と比較します。「売上が少ない」でまとめず、来店数が少ないのか、単価が低いのか、営業日が減ったのかに分解してください。客数が同じで原価が増えた場合も、仕入単価、廃棄、盛付量、棚卸の差を切り分けます。

最初の行動は、主力3品の原価、候補物件の設備見積、時間帯別の客数仮説を一つの計画へ合わせることです。根拠が弱い箇所へ印を付け、現地調査か見積取得か、次に何を確認すれば数字が決まるかを書き出します。確認日と前提を残せば、計画が外れたときも修正する場所が分かります。

出典・確認日

確認日:2026年10月15日。数値はすべて説明用の仮定で、審査基準・売上見込み・融資の保証ではありません。資料の指定と個別条件は申込窓口へ確認してください。